
こんにちは。
これまで5032件の借金問題を解決してきた、ひまわり司法書士法人の本松です。
この記事では自己破産することで賃貸契約時の(家賃)保証会社の審査にどう影響するのか?について解説します。

自己破産をするとローンの審査に通らなくなるということは知っていますが、賃貸契約の審査にも影響するのですか?

影響する場合も影響しない場合もあります。家賃保証会社の審査を気にするということは、自宅を任意売却して自己破産するケースだと思います。つまり「持家から賃貸になるけど入居の保証審査が不安」という場合ですね。

転居先で賃貸契約が出来なければ住む家がなくなってしまいますよね?どうすれば良いのでしょうか?

任意売却の場合不動産会社の協力を得て案件を進めていることが多いと思いますので、その後の賃貸契約についても相談しながら進めましょう。それに自己破産したからといって、賃貸契約時の保証会社審査に必ず通らなくなるわけではありません。それでは解説していきますね。
【自己破産が賃貸契約時の保証会社の審査に及ぼす影響】
- 自己破産するとなぜ賃貸契約が出来ないのか?
- 賃貸住宅の保証会社は4種類(信販系、LICC系、LGO系、その他)
- 自己破産していても利用しやすいのは公営住宅
自己破産するとなぜ賃貸契約が出来ないのか?
賃貸住宅の契約時には連帯保証人を求められるか、または保証会社による家賃保証を求められることが多いです。保証会社による家賃保証を利用する場合、自己破産をした経験がある人は注意が必要です。保証会社によってはローン等の審査と同様に信用情報による審査を行いますので、自己破産することで賃貸住宅の保証審査が通りづらくなるからです。

賃貸契約を結ぶのは、普通は自宅の任意売却の少し前ですよね?ということはまだ自己破産の申立てを行っていない段階なので、信用情報にはまだ影響しないのでは?

それは違います。
任意売却の場合、住宅ローンを滞納していることが多いので、信用情報には既に延滞情報が記載されています。また、司法書士が介入している場合まずは債権者に受任通知を打ちます。債権者に受任通知が到着した段階で信用情報上は「司法書士介入」扱いになりその旨記載されます。延滞、司法書士・弁護士介入、破産など、信用情報上で本人に不利な情報は総称して「事故情報」と呼ばれます。賃貸契約申込みの段階では、何らかの事故情報は記載されているはずです。
賃貸住宅の保証会社は4種類
家賃の保証会社は次の4つに分類できます。
- 信販系保証会社
- LICC加盟系列
- LGO加盟系列
- その他の保証会社
信販系の保証会社を利用する賃貸契約は原則不可
このうち信販系の保証会社は、自己破産により審査を通過することが原則不可能になります。信販系の保証会社は個人信用情報に照会をかけ賃貸契約の審査を行うためです。
個人信用情報登録機関にはCIC、JICC、KSCの3つがありますが、信販系の金融機関は主にCICとJICCに加盟しています。自己破産すると、CICでは7年、JICCでは5年、KSCでは10年間事故情報として登録され続けます。つまり、自己破産後少なくとも7年~10年間は信販系の保証会社が付く賃貸住宅は原則賃貸出来なくなるということです。なお主な信販系の保証会社は以下のとおりです。
- ジャックス
- アプラス
- SMBCファイナンスサービス(旧セディナ)
- エポスカード
- オリコフォレントインシュア
- ライフ保証(ライフカード系列)
- クレディセゾン
自己破産してもLICC加盟系列の保証会社は利用可能
自己破産してもLICC加盟系列の賃貸契約は可能です。LICCとは全国賃貸保証業協会のことで、賃貸保証に特化した保証会社が加盟しています。LICCの加盟業者はCICへの照会を一般的に行わないため、自己破産した場合であっても自己破産したことが分からないため保証審査に通る可能性があります。
ただし、LICCの加盟会社同士で家賃の支払状況や、滞納額等の交換は行っているため、以前自己破産して家賃も滞納していた人は審査に落ちる可能性が高いです。あくまでも家賃滞納がなく自己破産の経験がある人はLICC加盟系列で審査に通る可能性があるという事です。LICCに加盟している賃貸保証会社は以下のとおりです。
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全保連
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リクルートフォイレントインシュア
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アルファー
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エルズサポート
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賃住保証サービス
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近畿保証サービス
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興和アシスト
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ホームネット
自己破産してもLGO加盟系列の保証会社は利用可能
LICCと同様にLGO(賃貸保証機構)加盟系列の賃貸保証会社も一般的に信用情報を確認しないので、自己破産した人も賃貸契約の保証審査に影響しません。またLICC加盟系列のように、LGOでは保証会社同士での情報共有も行っていないため、過去に同じ保証会社で家賃滞納を行ってさえいなければ、基本的に他の保証会社の審査には影響しません。
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Casa(カーサ)
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フォーシーズ
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ALEMO(アレモ)
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日本セーフティ
自己破産してもその他の保証会社は利用可能
LICCやLGOに属さないその他系列の賃貸保証会社であっても一般的に信用情報を確認しないため、自己破産の有無に関係なく賃貸契約出来る可能性があります。過去の家賃滞納も基本的に入居審査には影響を及ぼすことはありません。しかし、過去に同じ保証会社で家賃滞納があれば審査に通らない可能性が高くなりますので、注意が必要です。
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日本賃貸保証(JID)
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イントラスト

家賃保証会社にもいろいろあるんですね。でも借主は保証会社を具体的に自分で選択することは難しいですよね?

だからこそ不動産会社の協力が必要なのです。任意売却に協力してもらった会社に入居先に保証会社の調査も含めてお願いすべきです。入居先が決まらない限り任意売却ができませんので、プロに任せて入居先を探してもらうのがベストです。
自己破産していても利用しやすいのは公営住宅
自己破産していても利用しやすいのが、都道府県や市町村が運営している公営住宅やUR(都市再生機構)の賃貸住宅です。信用情報調査はありませんし、家賃滞納している場合でも一般的に問題ありません。
ただし公営住宅は家賃も低く、主に低所得者向けに用意されている住宅であることから抽選によって入居者が選ばれます。公営住宅に入りたくても入れないケースもあるため、入居の抽選が行われている際には申込を検討してみてはいかがでしょうか。公営住宅の抽選はお住まいの地域によって対応が異なるため、市町村役場に問い合わせしてみて下さい。
まとめ
以上、自己破産すると賃貸契約の保証会社の審査にどう影響するのか?について解説しました。
【自己破産が賃貸契約時の保証会社の審査に及ぼす影響】
- 自己破産するとなぜ賃貸契約が出来ないのか?
- 賃貸住宅の保証会社は4種類(信販系、LICC系、LGO系、その他)
- 自己破産していても利用しやすいのは公営住宅
自己破産すると賃貸保証会社の審査に通らない可能性もありますが、信販系保証会社でなければ基本的に問題はありません。賃貸の不動産仲介会社も信販系の他LICC系やLGO系の保証会社も併せて取扱いしているケースが多くあります。あらかじめ不動産会社の担当者に話しておく方が、保証会社審査時にスムーズに対応出来るためおすすめです。
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