自己破産の面談時に確認するポイントは?押さえておきたい基本の6つのポイントを解説します
Pocket

こんにちは。
これまで5032件の借金問題を解決してきた、ひまわり司法書士法人の本松です。

この記事では、相談者に対して司法書士が自己破産の面談時に確認すべき6つのポイントを解説していきます。

新人司法書士新人司法書士

自己破産は手続きが複雑そうだから、面談時に確認するポイントがよくわかりません

司法書士の本松司法書士の本松

私も最初はそうでした。慣れていないと自己破産の面談のポイントがわからないですよね?
でもこの記事に書いてあることを整理できていれば、誰でも簡単にポイントを押さえることができるようになります。

確認ポイント1 債権者と債務額

まず確認するのは、当たり前ですが債権者と債務額です。そもそも自己破産をすべき案件かどうか検討するためにも債務の内容を把握する必要がありますよね。

自己破産するための債務額の目安について
相談者Aさん相談者Aさん

いくらの借金があれば自己破産をした方がいいですか?

相談者からよく聞かれる質問です。皆さんはどのように答えますか?私は次のように答えています。

司法書士の本松司法書士の本松

現在返済に困っていて、4年以内で確実に完済できないのであれば自己破産を選択した方が良いと思います。

自己破産は「破産法」に則って手続きを進めることになりますが、破産法では「債務者が支払不能にあるとき」に破産手続を開始すると定められていて、さらに「債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する」となっています。
「債務者が支払不能にあるとき」とは具体的に定まっているわけではありませんが、私は4年から5年の分割弁済で完済できるか否かを一つの基準にしています。 また自己破産の相談に来るのは既に何社か延滞していたり、「次回の返済がもう無理!」という方が多いです。「支払を停止」している状態に準じていると考え支払不能と判断して差支えないでしょう。
(破産手続開始の原因)
第十五条 債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。
2 債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。

引用元:破産法第15条

自己破産の面談時には返済原資を確認するのもポイントです。日常生活を営みながら月々の返済に回せる額を確認し、債務総額と照らし合わせると、完済までの日数が逆算できると思います。その日数が債務整理方針を検討する材料になりますので、数字を基に相談者とよく協議しましょう。

司法書士の本松司法書士の本松

借金は最後まで返しきらないと意味がないですよ。途中で返済が滞りそうなら自己破産を選択すべきです。」私は相談者によくそう言います。ギリギリの返済になりそうなら自己破産を勧めるのも司法書士の役割です。

保証人の有無も確認しましょう

自己破産の面談において保証人の有無の確認も忘れてはならないポイントです。

司法書士の本松司法書士の本松

保証人がいる場合は、借主に信用不安が生じると保証人は債権者から一括請求されます。気を付けなければならないのは一括請求されるのは自己破産申立時ではなく、司法書士が受任通知を打った時点だということです。

保証人の状況によりますが、保証人も返済が難しい場合は2人まとめて自己破産の申立てを行うという選択肢もありますので、依頼者とよく協議しましょう。

日本学生支援機構等の奨学金は要注意

日本学生支援機構の奨学金を借り入れる際は必ず保証人を求められます。債務の中に奨学金がある場合は注意が必要です。保証人側が自己破産することもあるので、次の2パターンに分けて対策を考えましょう。

【1】依頼者が借主の場合
【2】依頼者が保証人の場合
【1】の場合は、前述したとおり保証人は一括請求されてしまうので事前に保証人と話をしてもらってどうすべきか協議してもらいましょう。
気を付けなければならないのは【2】のパターンです。子の奨学金を親が保証しているケースが多いでしょう親の保証債務につき司法書士から受任通知が届くと子が一括請求されてしまいます(成人している場合)
司法書士の本松司法書士の本松

そのような事態にならないために、私は受任通知を打つ前に保証人変更の手続きを取ってもらうことにしています。

保証人を他の親族に変更してもらうことで、依頼者が破産しても本人には影響が及びません。日本学生機構の場合、配偶者を除く4親等以内の親族が保証人になる要件なので、父母・祖父母・叔父叔母・兄弟など、他に保証人になってくれる人がいないか検討しましょう。

 

確認ポイント2 同居している家族の構成

自己破産の面談時には同居している家族について確認するのも大切なポイントです。家族構成を申立書に書く必要がありますし、家族構成によって住まいや月々必要な生活費も変わってくるからです。

同居家族の協力も”原則”必要

詳しくは後述しますが、破産申立には申立人以外の同居家族の収入に関する資料(給与明細、年金の通知書等)も裁判所に提出しなければなりません。そのため同居家族の協力も必要になりますので、自己破産の面談時には家族の協力が期待できるかどうか確認するのもポイントです。

司法書士の本松司法書士の本松

中には「どうしても家族に知られずに破産したい」というリクエストもあります。しかし家族の給与明細を提出しないわけにはいかないので、その際にはこっそりと家族の給与明細のコピーを取ってくださいと伝えて、本人に対処してもらうこともあります。

確認ポイント3 住居

相談者が生活している住居について確認するのも自己破産の面談時のポイントです。賃貸、所有、社宅、親族所有のいずれなのかを聞いた上で、賃貸なら家賃の金額や賃貸借契約の名義(契約者)、所有なら担保権の有無や所有割合などを確認します。

司法書士の本松司法書士の本松

なお、自宅を所有した状態で自己破産すると、必ず自宅を手放さなければいけないと思っている方は意外と多いです。田舎で評価がつかない物件の場合、自己破産の申立てを行っても換価対象とならずに結果的にそのまま住めることも少なくないですよ。ただ裁判所を説得するために、財産価値がない旨の上申をしっかり上げることが必要になります。

確認ポイント4 本人及び同居家族の収入

本人の収入はもちろんですが、自己破産の面談においては同じ世帯の同居家族の収入についても確認するのがポイントです。自己破産の申立時には、「世帯全員分の」住民票を提出します。そのため原則的には住民票に記載された家族のうち、収入がある全員の給与明細等を裁判所に提出しなければなりません。しかし以下のような例外もありますので、注意してください。

同居家族の収入について
  • 住民票上は同世帯になっていても実際は別居している家族がいる場合は、その家族の収入証明書は原則として必要ありません。但し、別居している旨の上申は裁判所に上げてください。
  • 逆に住民票上は同世帯ではなくても、事実上生計をともにする家族がいるのであれば、その家族の収入も確認します。
  • 家族ではなくても生計をともにする同居者(内縁の配偶者、婚約者等)がいる場合は、同居者の収入も確認しましょう。

確認ポイント5 所有財産の構成

自己破産の面談時に、本人の所有財産を確認するのも大切なポイントです。同居家族の財産も可能な限り確認しておきましょう。不動産、自動車、金融資産などです。特に自動車はローンが残っているかどうかが大切なポイントになりますので、しっかり確認しましょう。

自己破産するとローンが残っている自動車はどうなる?

これもよくある質問です。結論から言うと「自己破産申立前に債権者が引き揚げる」です。
自動車をローンで買うと「所有権留保」特約が付されます。これは代金が完済されるまで引渡しを終えた目的物の所有権を留保する特約です。

司法書士の本松司法書士の本松

簡単に言うとローンの支払いが終わるまでは、その車は買主ではなくローン会社のものだということです。

そのため、司法書士が受任通知を打つとすぐに司法書士に車両の引き揚げの連絡が入ります。カーローンがある相談者には、自動車が引き揚げられてしまうことをちゃんと説明しておきましょう。
司法書士の本松司法書士の本松

すぐに車を引き揚げたい債権者と、少しでも長く乗っていたい依頼者との綱引きになることも多いです。司法書士はうまく間に入って、引き揚げ日程を調整しましょう。依頼者の説得も大切ですよ。

もちろんバイク等の自動車以外の車両でも同様です。

確認ポイント6 借入の理由、使途

借入の理由や使途について確認することも自己破産の面談のポイントです。生活費や事業資金などであれば問題ないですが、浪費やギャンブルなど免責不許可事由に該当する場合は依頼者への説明に注意しましょう。

司法書士の本松司法書士の本松

2回目、3回目の破産なら難しいですが1回目の破産申立てであれば、浪費・ギャンブルなどが大きな原因であったとしても、余りにヒドい借り方・使い方をしていなければ免責許可は出ると思います。しかし管財事件になってしまう可能性が高まりますので、借入の理由や使途に問題がある相談者には管財事件の説明もしておきましょう。

確認ポイント【重要】 本人の職業、保有資格

本人の職業を確認するのも、自己破産の面談のポイントです。破産手続きを経て復権を得るまでの間は一部の職業に就けなくなってしまいます。主に国家資格が必要な職業です。私たち司法書士も該当します。復権を得るパターンはいくつかありますが、代表的なのが「免責許可決定の確定」です。「当然復権」と呼ばれます。

以下に、制限を受ける職業をまとめてみました。さらに制限を受けそうだけど実は大丈夫な職業もまとめてみましたので、参考にしてください。

司法書士の本松司法書士の本松

制限されるのは「他人の権利や財産を取り扱う職業」と考えてください。

自己破産により一時的に就けなくなる職業(代表例)
  • 宅地建物取引士
  • 生命保険募集人
  • 損害保険代理店
  • 警備員
  • 旅行業務取扱主任者
  • 証券会社の外交員
  • 司法書士、税理士、弁護士などの士業
自己破産により制限を受けそうだけど実は大丈夫な職業(代表例)
  • 医師
  • 看護師
  • 理学療法士
  • 教師
司法書士の本松司法書士の本松

職業以外にも(未)成年後見人・保佐人・補助人・遺言執行者など、就任できない役割もあります。

制限を受ける職業に該当していた場合の対処方法

新人司法書士新人司法書士

じゃあ、職業制限に引っかかる相談者にはどう対応すればいいですか?

司法書士の本松司法書士の本松

まずは個人再生を検討するのがいいでしょう。

個人再生には破産のような職業制限はないため、上記の職業の方でも安心して申立てを行うことができます。そのため自己破産の面談時には相談者の職業を確認して、場合によっては個人再生を提案するのがポイントです。

依頼者依頼者

保険の営業をやっているんだけど、全然が契約取れないから転職しようと思ってました。保険の資格のことは構わないので自己破産を進めてください。

司法書士の本松司法書士の本松

過去の依頼者にこんな人もいました。たまにこんなこともあるので、本人の意向もしっかりと確認しましょう。

まとめ

以上、司法書士が自己破産の面談時に確認すべき6つのポイントを解説しました。

司法書士が自己破産の面談時に確認すべき6つのポイント
  1. 債権者と債務額
  2. 同居している家族の構成
  3. 住居
  4. 本人及び同居家族の収入
  5. 所有財産の構成
  6. 借入の理由、使途

慣れないうちはこれらの項目を記載した聞き取り用紙を作成して、自己破産の面談時にポイントを確認するのが良いでしょう。最初は難しく感じるかも知れませんが、少しずつ慣れていけばきっとスムーズに聞取りができるようになりますよ。

「司法書士事務所 債務整理研究会」のお知らせ

これから債務整理業務に取り組みたい司法書士の方へ~

司法書士の本松司法書士の本松

不安な司法書士の方は本松へぜひご相談ください。

私はこれまで、5032件の債務整理案件を受任してきました。
「すごいなー。でも債務整理事務所で基礎から教育されたからできるんでしょ?」
「債務整理の実務経験が乏しい自分には、難しそうだな。」
と、このように考える方が多いと思います。
しかし、まったく違います。
確かに私は債務整理事務所に在籍していましたが、ほとんど何も教えてもらえず、必死に独学で勉強しました(汗)。最初のうちは、

「個人再生?何だそれ?聞いたことないぞ。」

というレベルだったのです。そんな私でも何とかやっていくうちに5032件の債務整理案件を処理できるにまで成長したのです。 このサイトをご覧になっている司法書士のあなたは、当時の私より間違いなく知識があります。だから断言します。

あなたでも、債務整理案件は自信を持ってすぐにできるようになる!

しかし、私のように回り道せずに、なるべく効率的に学習して欲しいと思い、このように情報発信をしております。時間は有限です。限られた時間をなるべく有効的に使うことで、結果的にあなたの司法書士としてのステップアップや事務所経営の安定にも繋がるのです。

そこで司法書士が債務整理を学ぶ場として、「司法書士事務所 債務整理研究会」を立ち上げました。

これまで積極的に債務整理業務に取り組んで来なかった司法書士でも0から債務整理を学べる研究会です。共に学ぶ司法書士の仲間たちとの情報交換も可能なので、興味のある司法書士の方はぜひご参加ください。

皆様のご参加をお待ちしております。