司法書士のための内容証明の書き方 内容証明の基礎とポイントをお伝えします
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こんにちは。

これまで5032件の借金問題を解決してきた、ひまわり司法書士法人の本松です。

この記事では、内容証明郵便の基礎的な知識やポイントをお伝えしていきます。 登記業務ばかりやっていると、なかなか利用することのない内容証明郵便ですが、債務整理業務を行う際はよく利用します。特に多く使うのが時効援用です。時効援用とは、「消滅時効が成立しているから、債務は消滅しました。もう払いませんよ。」と債権者に意思表示することですよね。 債務整理の実務では、「時効援用通知書」という文書を作成し、配達証明付きの内容証明郵便で債権者に送付します。確実に証拠を残すことで、債権者との争いを防ぐことができます。

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もし内容証明を発送する手間を省いて他の方法で郵送してしまうと、債権者から「そんな書類は受け取っていない」と主張する隙を作ってしまいます。時効援用など意思表示の到達が重要視される手続きにおいては、確実に文書の内容を証明できる内容証明郵便を利用すべきです。お客様にとってデメリットとなるだけでなく、通知を打った司法書士が責任追及されるリスクも抱えてしまいます。

このように、債務整理業務では内容証明郵便の基礎的な知識が必要になりますので、まだ知らない方はこの記事を読んで、理解してくださいね。

そもそも内容証明郵便とは?

内容証明郵便は、次の4点につき日本郵便が証明する性質を持つ郵便物です。

  • 誰が
  • 誰に対して
  • どんな内容の文書を
  • いつ発送したか

なお、記載された内容が真実であるかどうかを証明するものではありません。郵便局での内容証明の保存期間は5年間となっています。差出人は、5年間に限り、差出郵便局に対し謄本の閲覧を請求できます。

必ず配達証明書付で発送しよう

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司法書士が内容証明郵便を発送する際は、必ずオプションサービスである「配達証明書」付で発送しましょう。

配達証明書は、内容証明郵便で送った文書を配達しましたという日本郵便の証明書です。配達が完了すると、通知人(発送者)の住所にハガキ形式で郵送されてきます(代理人名で発送した際は、代理人住所に送られてきます。)。 配達証明書を付けると相手方の書類受領を疎明することができますので、その文書を「受け取っていない」などの争いの予防に効果的です。

司法書士が内容証明郵便を使用した場合の効果

司法書士が内容証明を使用するメリット
  • 代理人として司法書士名を記載することで、相手方に心理的プレッシャーを与えられます。個人間の紛争の場合、内容証明郵便によって請求や通知をおこなうだけで、相手方との話し合いが進み、問題が解決するケースがあります。
  • 文書の内容および通知した事実について、証明することができます。
  • 訴訟移行した場合に、文書を通知した事実を疎明することができます。
司法書士が内容証明を使用するデメリット
  • 個人間の紛争の場合、相手方によっては、内容証明郵便により圧力をかけられたと受け取られてしまいます。内容証明郵便=宣戦布告となり、話し合いによる解決がますます難しくなってしまいます。相手方と良好な関係を継続したい場合には、特に慎重に検討しましょう。
  • 記載内容を間違えると、相手方に有利な証拠となってしまうので、注意が必要です。
  • 証拠となる書類から事実関係をきちんと確認しましょう。

内容証明郵便作成の書式ルール

内容証明の書き方には、書式のルールがあります。書式に則っていないものは郵便局で受け付けてくれませんので、しっかりと基本をおさえましょう。

作成方法 手書きでもPC書きでも可。用紙に決まりはない。※但し通常はA4サイズ、PC書きを使用します。
使用できる文字
  • ひらがな、カタカナ、漢字、算用数字
  • 英字(固有名詞のみ) (例)JR、JA共済など
  • 括弧 ()
  • 句読点 、 。
  • その他記号 % ㎏
字数・行数制限 ※いずれも合計520字以内です。 【横書きの場合】

  • 1行20字以内、1枚26字以内(※通常はこのパターンを使用します。)
  • 1行13字以内、1枚40行以内
  • 1行26字以内、1枚20行以内

【縦書きの場合】

  • 1行20字以内、1枚26行以内
訂正方法
  • 【削除の場合】訂正前の文字が判読できるように、2本線で消し、近くに正しい文字を書きます。欄外に「△字削除」、「△字加入」のように記載し、訂正印(差出人印)を押印します。
  • 【挿入の場合】欄外に「△字加入」と書き、訂正印(差出人印)を押印します。※なるべく訂正はないように気をつけてましょう。

内容証明郵便の作成方法

書き方のポイント
  • 【表題】 特に決まりはありませんが、趣旨が明確になるように分かりやすく書きましょう。「通知書」でもいいですし「時効援用の通知書」等、具体的に内容を明記してもOKです。
  • 【本文】分かりやすく明確な文章にしましょう。感情的な表現は使わず、冷静な表現をすること。
  • 【日付】内容証明を作成した日を記入します。差出日である必要はありませんが、郵便局の窓口で「できれば本日付けにしてください」と言われることもありますので、特に差支えが無ければ、差出日と合わせることをお勧めします。
  • 【当事者の表示】通知人と、受取人を記載します。個人であれば住所、氏名、法人であれば本店所在地、法人名、代表者役職、代表者名前(例:東京都千代田区丸の内一丁目1番1号 ひまわりファイナンス株式会社 代表取締役 本松紳司)を記入します。法人登記情報等でしっかりと確認してから記載しましょう。
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    但し、貸金業者、債権回収会社等に対し時効援用の内容証明を発送する場合、消滅時効の要件を満たしているのであれば代表者宛ではなく請求をして来ている担当部署宛でも問題ないと考えられます(例:ひまわりファイナンス株式会社 債権管理部 御中)。請求をしてきているということは、代表者から本件請求についての権限を付与されていると考えられるため、すなわち時効援用の意思表示の受領権限も付与されているという理屈になるからです。これまで私の事務所ではその点で争いになったことはありません。

  • 【代理人の記載】通知人の後に、【上記通知人代理人】と記載した上で、住所、氏名、連絡先、簡裁代理認定番号を記載しましょう。司法書士法人の場合は、代表者役職、代表者氏名を記載します(例:ひまわり司法書士法人 社員 本松紳司)。
内容証明作成の注意点
  • 2枚以上のときは、ホッチキスで留めて(2箇所留め)つづり目に契印をしてください。
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    契印は2箇所のホッチキスの間くらいに押すのがいいでしょう。登記書類の感覚でページ上部や下部に捺印すると、郵便局から訂正を求められたことが実際にありました。

  • 原稿下部に郵便局の認証記載が入るので、4cm程度余白を作りましょう。余白が作れないようでしたら適当な行から次項に持ち越し、枚数を増やしてください。
  • 内容証明は、一度送付すると撤回ができませんから、正確な内容のみを記載してください。
  • 間違えた金額や条件を記載しないように、何度も文書を読み返し確認を行いましょう。
時効援用の内容証明の注意点
  • 【債権を特定できる情報】対象となる債権を特定するために、以下のような情報を記載します。
  1. 契約番号(会員番号)
  2. 借入人氏名(ふりがな)
  3. 住所
  4. 生年月日
  5. 債権の種類(貸金債権、譲受債権、求償債権等)
  6. 時効の起算点の参考日付(期限の利益喪失日、最終取引日、代位弁済日等。※不明な場合は記載不要です。
  • 【消滅時効を援用することを明記する】時効援用通知書に「消滅時効を援用します」とはっきり記載しましょう。
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    時効援用の根拠条文も記載するとなお良いでしょう。令和2年4月1日以降の原契約に基づく債権は、改正民法が適用になりますのでご注意ください。但し、消滅時効の案件に改正民法が適用になるためは、原契約から少なくとも5年経過する必要があります。そのため早くとも令和7年4月以降になります。それまでの間、債務整理実務の上ではほとんどのケースで次の2つの条文を使用することになります。

(商事消滅時効)
第五百二十二条 商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、五年間行使しないときは、時効によって消滅する。ただし、他の法令に五年間より短い時効期間の定めがあるときは、その定めるところによる。
引用元:商法第522条(改正前)
(判決で確定した権利の消滅時効)
第百七十四条の二 確定判決によって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。裁判上の和解、調停その他確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利についても、同様とする。
引用元:民法第174条の2(改正前)

内容証明を発送する際、郵便局へ持って行くもの

内容証明を発送する際の、郵便局への持ち物をまとめてみました。

郵便局へ持って行くもの
  1. 【内容証明郵便文書 3通】内容の同じ文書を3通用意します。1通は受取人へ送付、1通(謄本)は差出人で保管、1通(謄本)は郵便局が保管します。
  2. 【封筒 1枚】封をしないで持参します。大きさ・種類に決まりはありませんが、長形3号がオススメです。表面に受取人の住所氏名、裏面に差出人(通知人)の住所氏名を記載します。
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    封筒に記載する受取人、通知人は、文書内と”まったく同じに”記載する必要があります。代理人名で発送する場合は、差出人に代わり代理人の記載をします。

  3. 【差出人(代理人の場合は代理人)の印鑑】窓口での訂正に備えて文書に捺印した印鑑を念のため持参してください。訂正が入るとカッコ悪いので、なるべく修正がないようにしましょう。

差出しの注意点

  • どの郵便局からでも差し出しできるわけではなく、内容証明を扱っている郵便局は決められています(そのエリアの本局と言われる基幹局のみ対応しています。)。あらかじめ郵便局へ問い合わせて確認してください。
  • 封筒に記載した差出人・受取人の住所氏名が文書に記載されている住所氏名と一致しているか確認してください。
  • 内容証明郵便の文章中に、差出人の電話番号を記載した場合は、封筒にも同じように電話番号を記載してください。
  • 当然には配達証明にしてもらえないので、必ず窓口で「配達証明書付きでお願いします」と伝えましょう。
  • 窓口で渡される謄本とお客様控え、後日送られてくる配達証明の「お客様控え(郵便物等配達証明書)」は、大切に保管してください。

電子内容証明とは?

電子内容証明郵便とは、e内容証明ともいわれ、24時間インターネットから内容証明を送れるサービスです。窓口送付にくらべ、利用者が便利に内容証明を差出すことができるようになっています。
電子内容証明は、職印がないため効力が弱いと思われがちですが、両者の法的効力に違いはありません。電子内容証明も裁判の証拠にもできますし、同じ用途で使用できます。 専門家が内容証明を発送する際には、今でも、一般の内容証明郵便を利用するケースが多くなっていますが、たとえば、お客様からクーリング・オフの相談を受けたら、急いで内容証明郵便を差出す必要があるかもしれません。クーリング・オフ通知は、内容証明の日付が重要になってきます。
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慣れてしまうと電子内容証明はとても楽ですよ。私の事務所でも活用してます。内容証明の引受郵便局が事務所の近くにない人には、特にオススメです。

そんなときは、夜間でも早朝でも送付できる電子内容証明を活用できます。利用するには、事前登録(無料)が必要です。簡単に登録できますよ。詳しくは こちら をご覧ください。

まとめ

以上、司法書士が内容証明郵便を利用する際の基礎とポイントについて記載しました。まとめると次のとおり。

  • 字数・行数など、決められたルールに従って作成しましょう。
  • 明確に伝えたいことを記載し、訂正等がないように気をつけてください。
  • 容証明取り扱い郵便局かどうかを事前に確認し、忘れ物のないようにしましょう。
  • 電子内容証明という便利な制度もありますので、状況に合わせて使い分けましょう。

債務整理実務の上では、司法書士が時効援用で多く使用する内容証明郵便です。しっかりポイントを踏まえて使用すればとても強力で便利なツールになりますので、まだあまり使用したことのない人はこの記事を読んで参考にしてくださいね。司法書士業務の幅がまたひとつ広がっていくと思います。

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