自己破産しても会社の設立はできる。1度事業に失敗しても、再チャレンジはできるのか!?
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こんにちは。

これまで5032件の借金問題を解決してきた、ひまわり司法書士法人の本松です。

自己破産をしたい相談者から、会社設立や起業についての相談をされることもあると思います。後に起業を考えている相談者からしたら、自己破産後に会社を設立できなくなると困ってしまいますよね。 旧商法では「破産手続開始決定を受け復権していない者」は取締役になることはできなかったので、免責決定が出るまでは会社設立は事実上、難しい状態でした。しかし法改正に伴い、この規定は削除されました。

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そのため現在では、自己破産をしても、会社を設立し、取締役になることができます。しかし自己破産後の会社設立には、気を付けるべきポイントがいくつか存在するため、通常の設立とは違う説明を心がけましょう。

その場でテキパキと説明できればお客様から信頼を勝ち取ることができますし、自己破産の依頼だけではなく、その後の会社設立登記の依頼もゲットすることも自然にできます。

一方、しっかりとした回答ができないと、信頼を失い、自己破産の依頼さえ獲得することができなくなってしまいます。

但し自己破産後はブラックリスト(個人信用情報)に事故情報が登録され、基本的に新たな借入は難しい状況となりますので、手持ち資金がない場合は、どのように初期資金を用意すれば良いのかという課題が生じます。司法書士は、破産後に会社を設立し新たな事業にチャレンジしたい相談者に対してどのようなアドバイスができるのでしょうか? 今回は、自己破産後に会社設立をする際のポイントを述べていきます。

自己破産後、会社設立や起業をする際のポイント

会社設立費用を抑える

破産後、すぐに会社設立を考える方もいらっしゃると思います。手元資金が少ない状況の中で事業をスタートすることになります。そんなときは、会社設立費用を抑えることを考えましょう。

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株式会社ではなく、合同会社を設立することで初期費用を抑えることができます。将来、ビジネスを展開するときに、合同会社から株式会社へ組織変更もできるので、必要に応じて後日組織変更をするという選択肢もあります。

会社設立(電子定款作成の場合)に最低限必要な実費は以下のようになります。

合同会社設立にかかる費用(実費)
  • 登録免許税 6万円
  • 定款認証  0円 

計6万円

株式会社設立にかかる費用(実費)
  • 登録免許税 15万円
  • 定款認証  5万2000円 

計20万2000円

比較すると明らかですが、合同会社がやはりおトクです。資金が少なくて株式会社に対して特にこだわりがないお客様には、合同会社設立を提案すべきです。このようにお客様の問題を解決する具体的な提案ができることで、信頼を得ることができ案件獲得の可能性が高まります。

法人印の費用も必要

設立の際に購入する法人印、結構高いですよね。実印、銀行印、認印の3点セットで購入することが多いと思います。ネットで買うと5000円程度で安く買えますが、あまり安いと不安になるため2万円以上のものを購入している方が多いと思います。

自己資金を蓄えてから設立する選択肢もある

会社設立を急ぐ必要がない場合、時間はかかるかもしれませんが、自己資金を蓄えてから起業をする選択肢があることもアドバイスしましょう。

親族を会社の代表にする

代表者の事故情報が信用情報機関に登録されていると、事実上、銀行からの事業資金の融資は難しくなります。代表者個人が法人借入を連帯保証することが融資条件になるからです。自己破産の申立てを行い免責決定が官報公告されてから、10年間は銀行系の信用情報である「全国銀行個人信用情報センター」に掲載されます(詳しくは全国銀行個人信用情報センターHPを参照。)。

そのため、情報が抹消されるまでの10年間は銀行の融資審査にパスすることは不可能でしょう。 その場合、信頼できる親族に代表になってもらい会社を設立するという方法もあります。100%大丈夫なわけではありませんが、信用力のある親族なら、事業資金の調達が可能になります。 信用情報が抹消されてから代表を変更することもできますので、それまでの間に事業を軌道に乗せていけばいいのです。

なお、10年経過すると情報は自動的に抹消されるので、お客様が情報抹消のための手続きを行う必要はありません。

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ただし代表者交代で争いにならないように、株主構成や会社の定款はしっかりと対策を施しておくことが大切です。お客様にとって有利な定款案を提案できると、信頼度がアップして案件獲得に繋がります。

公的な融資制度を利用する(日本政策金融公庫「再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)」)

自己破産して…、融資も借入も難しくて…、「事業経営はあきらめましょう」とアドバイスするのはまだ早い。 意外と知られていませんが、日本政策金融公庫では、一度事業に失敗し自己破産をした方でも融資が受けられる融資制度があります。「再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)」といいます。

専門家の間でも一般的な情報ではないので、この提案をできる司法書士や弁護士はほとんどいないと思います。そのため、この提案によってお客様から大きな信頼を勝ち取ることができ、案件獲得に大きく前進します。以下に概要を記載しますので、大まかなところだけも知識として仕入れておきましょう。知識として仕入れておきましょう。

日本政策金融公庫HPより

会社設立後に申請します。共通した必要書類は以下の3つです。HPからダウンロードできます。

① 借入申込書

② 企業概要書

③ 創業計画書
現実可能な事業計画かどうか、きちんと金銭管理ができる経営者なのかどうかが審査されます。一度事業で失敗をしていると、失敗を繰り返さない計画書になっているかもチェックされるでしょう。難しいことですが、改善点・失敗を繰り返さない理由を説明し、担当者を納得させるように準備しましょう。計画書は、具体的に記載することがポイントとなります。
なお、これらの手続きは司法書士の専門分野ではないので、専門家である税理士に手助けしてもらうことも必要です。会社を運営していく上で税理士の存在は不可欠なので、その後の会社の税務顧問になってもらうこともあるでしょう。

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このように自己破産案件を扱っていると、税理士へ案件を紹介できるようになるのです。税理士へ案件を紹介できると、そのお礼として税理士から相続登記や会社設立登記案件を紹介される関係性が構築されますので、あなたのビジネスチャンスも広がります。

それでは、飲食店を例に基本的な創業計画書の書き方を確認しましょう。


日本政策金融公庫HPより創業計画書の書式がダウンロードできます。

創業の動機

具体的に記載し、創業動機を説明しましょう。

(悪い例)飲食店経営をしてみたかった。

(良い例)自分の店を持つことを目標とし、10年間レストランで修業、技術や知識を身につけた。

熱意を伝えるのではなく、論理的な事業計画であることを記載します。返済の見込みがあるかどうかが大切だからです。経営方針や立地選択理由についても具体的に記載しましょう。

経営者の略歴等

勤務先、勤務年数だけではなく、役職・実績・待遇も具体的に記載しましょう。ここでは「経営者の資質」がチェックされます。事業に関係する資格を取得しているかもポイントになります。略歴を記載し、そこから何を得たのかを記載しましょう。

再チャレンジ支援融資対象者は、「事業を経営したことがあるが、すでにその事業をやめている」にチェックをつけましょう。

取扱商品・サービス

セールスポイント欄は、読んだ方がイメージできるように、具体的かつ分かりやすく記載しましょう。

(悪い例)アットホームな店 インターネットで集客

(良い例)店内には温かみのある照明、くつろげる和室も用意し、落ち着いた内装とする。各種SNSを活用し集客に注力、飲食店情報サイトにも登録し、広報活動をおこなう。

取引先・取引関係等

販売先=顧客です。飲食店の場合、周辺環境も加えて記載しましょう。飲食店の場合、一般個人客がほとんどだと思いますので「○○駅周辺の帰宅途中の会社員」等、なるべく具体的に記入することがポイントです。仕入先に、個人的な関係があるような場合は、そちらも記入しましょう。契約書・注文書があれば添付します。

従業員

人材が必要な事業では、人材確保がチャックされています。人員数が事業規模に対して適正かどうか、事業内容と収支に見合う人員数を記載しましょう。

お借入の状況

住宅ローン、教育ローン、自動車ローンなど正確に記入します。どこからお金を借りているのか?浪費グセはないか等が審査されています。

必要な資金と調達方法

出店予定地の家賃の周辺相場も調べましょう。家賃水準や内装外装の工事金額に応じて、売上見込みは大きく変わります。2社以上から見積もりをとりましょう。創業時の広告宣伝費、人件費、事業開始後(約半年程度)の赤字補てん資金を考えながら、運転資金を準備しましょう。見積書があれば添付します。

自己資金の貯め方もチェックされています。自分でコツコツ貯めてきた資金なのか、親から一括100万円の振込なのかでは、印象が違います。 最後に、必要な資金と調達方法の合計金額が一致していることも確認しましょう。

事業の見通し

売上高は低め、経費は多めに試算し、それでも経営が成り立つ収支計画を作成しましょう。売上高の計算方法は業種によってことなります。 人により、状況により、提出書類があります。担当者に確認をおこない準備をしましょう。これ外にも、別途、経営計画書の作成をし、数字で担当者を説得する努力をしてもよいでしょう。公庫の担当者は、融資をし、サポートをしたいと考えています。

融資審査を通るきちんとした計画書の作成をしましょう。相談者には、経営者の人柄も見られていることを伝えることも大切です。

会社設立の事業目的に注意

定款の事業目的に記載した業種によっては、許認可の申請をしなければなりません。その業種の業法により欠格要件として「破産者で復権を得ないもの」と定められていると、免責決定を受けるまでは許認可がおりず、会社を設立しても事業を開始することができません。

破産者が欠格要件にあたらない職種の例(免責決定前でも事業を営める)
  • 飲食店
  • 許認可不要の業種(コンサルティング業、広告代理店業など)
破産者が欠格要件に該当する職種の例(免責決定前では事業を営めない)
  • 宅地建物取引業許可
  • 建設業許可
  • 保険代理店
  • 各士業
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許認可の欠格要件に「破産者で復権を得ないもの」と定められている職種では、役員の「身分証明書(住民票のある市区町村が発行します)」が提出書類になっています。これが破産者ではないことの証明となります。

まとめ

今では破産をしても、すぐに会社を経営し、新たな事業にチャレンジできるようになっています。手元の資金不足でも会社設立をあきらめず、いろいろな方法があることを説明できるようにしておきましょう。

しっかりと説明できればお客様から信頼を勝ち取ることができますし、自己破産や会社設立登記の依頼もゲットすることもできます。

一度失敗をしても、新しい事業にチャレンジする方をサポートし、良いアドバイスができるように心がけましょう。

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