大事なのは依頼者の”具体的な”気持ち。こと細かに依頼者の気持ちを考えよう。
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こんにちは。

これまで5032件の借金問題を解決してきた、ひまわり司法書士法人の本松です。

今回は、実際に私が担当した依頼者の事例を通して、

「お客様の気持ちが大切!」

だということを伝えていきます。

司法書士の本松司法書士の本松

お客様の気持ちを理解できているだけで、面談時の受任率は飛躍的に高まります。でも、実はほとんどの司法書士がこの当たり前のことができていないのが実情です。

さらに私は今回の依頼者によって、

お客様の気持ちを”具体的に”考えることが大切だな

と感じました。

お客様の気持ちを具体的に考えることによって、司法書士にはこんなメリットがあります。

お客様の気持ちを具体的に考えるメリット
  • 信頼度がアップする
  • 受任率が高まる
  • 他事務所が比較対象から外れるため解任されにくい
  • 受任中のやり取りがスムーズに進む
  • 手続き終了後、別件での相談や、他の方の紹介に繋がりやすい

一方、お客様の気持ちをしっかり考えないとこんなデメリットが。

お客様の気持ちをしっかり考えないことによるデメリット
  • 信頼されない
  • 受任率が低くなる
  • 他事務所と比較されるため、費用が安い、丁寧に接してくれる、などの理由で他事務所に乗り換えられる
  • 受任中のやり取りがスムーズにできない(連絡が取れなくなる)
  • 別件の依頼や紹介に繋がりにくい
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ほとんどの司法書士は、お客様の気持ちを本当に考えることができていません。でも、具体的にお客様の気持ちを考えるだけでこんなに大きな差が生じます。お客様の気持ちを考えることがいかに大切だということが分かりますよね。

今回は、63歳の主婦の方。会社員のご主人と2人暮らしで、本人はパートで月10万円くらいの収入がある主婦の方です。夫婦2人で相談に来ました。

この事例を使って、今回はお客様の気持ちを考えることが大切だということについてお話をしていきます。

今回の事例紹介

まずは、今回の事例を紹介していきますね。

債務の状況、生活状況はこんな感じです

  • 消費者金融3社 82万円
  • 通販会社6社 26万円
  • 計108万円の債務
  • 夫と2人暮らし
  • 自宅は夫所有の一戸建て(住宅ローンなし)
  • 本人の収入 手取り10万円(パート)
  • 夫は定年間近の会社員 手取り22万円

債務額の割には多い債権者数。何を買ったのか?借りたお金を何に使ったのか?聞いてみると

債務の聞取りをしていて気になったのは、債権者数でした。特に通販会社。要するにテレビショッピングなどで買い物したけども、代金を払っていないということです。買ったものの内訳は、健康な水、黒酢カプセル、化粧品など。

ちなみに、消費者金融の借り入れは、結婚して別に暮らしている子への援助や、一緒に食事をしたときの外食代だということでしたが、化粧品などにも使っていそうな雰囲気でした。

面談中、夫婦バトル勃発(失敗談)

面談中のその夫婦ですが、話を聞いている最中に軽い夫婦ケンカが始まってしまいました。ケンカの理由はこうです。

夫としては2~3カ月前から、妻を破産させようと考えていた。これ以上の返済は無駄になるため、「もう支払いはしなくていい」と妻に話していた。本人は破産の意思はなかったが、夫の言うことを聞いて支払いを止めたら、カードが使えなくなった。

そういう状況の中で

司法書士の本松司法書士の本松

どうして支払いを延滞したんですか?

と私が質問したものだから、妻は
相談者(妻)相談者(妻)

だって夫が払うなって言うから!?

ということで火がついてしまったんですね。

普通に質問したつもりだったのですが、咎められているように感じたのかな?次回からは聞き方に気を付けようと、反省しました。

自分自身はどうしようと思っているのか?本人の意向を確認

より詳しく話を聞いてみると、夫の意向は、やはり「妻を破産させてやって欲しい」ということでした。一方、本人は「自分で払う」と言っています。理由を聞いてみたところ、借入ができなくなると子への援助ができなくなるからということでした。長男は結婚して子どももいるのだけど、会社を辞めて家に引きこもっているから、お金がなくて心配に思っていると。

でも私には、夫の前で強がって無理をしているように感じました。方針的には、私も破産にすべきと思っていたので、

破産を選択した場合、このまま放置した場合の2つの未来をお話しました。

破産を申立てた場合
  • 手続きの間はいろいろとやることが多くて大変
  • でも全部終わるとすべて清算されて返済は消える
  • これまで私は多数の破産申立てを扱ってきた。手続きが終わった後に後悔した人は1人もおらず、みんな最後は晴れやかな表情になって喜んでいる。
放置した場合
  • 訴訟を起こされ、給与を差押えられる可能性が高い(債権者に職場を把握されている)。
  • そうなるとお金を強制的に回収されるだけではなく、職場にも知られてしまう。

本人の気持ちに変化が

相談者(妻)相談者(妻)

わかりました。では、お願いします。

私がそこまで説明して、ようやく承諾をもらうことができたのです。

それまでは私も相談者も険しい表情で話をしていたのですが、承諾をいただいた後は要所要所でお互いに少し笑顔を見せながら話をすることができました。まずは信頼を少し獲得できたので、依頼をしてもらう、という結果になったのだと思います。

今回のポイント

それでは今回のポイントについて、順を追って説明していきます。

相談予約の段階から、少しだけ珍しいケースでした

たま~にあるのですが、今回は少しだけレアケースでした。それは

「夫が予約の電話を入れてきた」

というところです。

夫が

というのがポイントです。

ちなみに「妻が」というのはよくあります。特別注意する必要はありません。妻が自分で予約してくる場合も、特段注意する必要はないでしょう。

しかし今回のように「夫が」という場合は、少し注意して面談に臨んだ方がいいでしょう。なぜなら、今回のように「夫が妻の債務整理の予約をしてくる場合は、夫婦で揉めてる場合が多い」からです。

とてもザラザラした不安な気持ちで相談に来るはずだなと、お客様の気持ちをあらかじめ考えることはとても大切です。

夫婦の状況を想像してみると

結婚している男性は気持ちが分かるかもしれないのですが、家計は妻に任せているという方は多いです。

よっぽど収入が多い家庭は別ですが、家族で生活すると、これでもか、これでもか、といろんなお金がかかります。収入がある程度高くても、思ったほどお金は残りません。収入が少なめな家庭は、ほとんど蓄えがないこともあると思います。

司法書士の本松司法書士の本松

般的には女性より男性の方がメンタルが弱いので、夫は家庭にいくらお金があるのか?という問題から現実逃避をしたいものです。そのため妻がカードショッピングやキャッシングを行っていたとしても、どれくらい借りているか分からない夫も多いですし、そもそも借入の事実さえ知らない、ということもあります。

それにも係わらず、夫から妻の借金相談をしてくるということは

「何度も注意をしたし、ケンカにもなった。でも、もう限界だ!このままだと家計が崩壊する!」

と思い、見るに見かねて、電話してきているのです。そのような状況を想像しているのとしていないのとでは、対応に大きな差が出てきます。やはりお客様の気持ちを考えることはとても大切ですよね。

きっとこんな気持ちで予約の電話をしてくれたんだろうな

夫の気持ちを相談してみてください。妻の借金相談を、専門家とはいえ初対面のしかも20歳以上年下の私に相談するのです。予約の電話を入れるとき、事務所に来て相談するとき、どんな気持ちだったでしょう?電話をくれた夫の気持ちを考えることはとても大切です。不安な気持ちや緊張もあると思いますが、何より

「恥ずかしかった」

だろうなと。

既に限界だと感じている夫と、危機感はありながらもまだ何とかなるだろうと楽観的な妻。私は、決して穏やかな面談にはならないだろうな、ということを事前に想像して本番に臨むわけです。

【重要ポイント】夫の気持ちも考えてみよう

以上の話を読んでて「ふ~ん。本松はそんなこと考えてんのか~。」ってスルーしませんでしたか?実は、ここはとても大切なポイントなんです。

これだけでも、有料級のアドバイスになり得る情報です。決して、コンサル会社からは得られない視点です。司法書士業に限らず、ビジネスの基本中の基本です。

それは

「お客様の気持ちを具体的に考える」

ということです。

法律上、今回の依頼者は妻になります。しかし、相談の予約を入れてくれた夫も、ビジネス上の考え方では「お客様」になります。ビジネスの基本は何でしょう?それは、

「お客様の問題解決をする」

ことです。

恥を忍んで相談に来た夫からすると、確実に妻の借金を無くして欲しいでしょうし、2度と借りて欲しくないと考えています。その目的達成のために、手段を考える必要があります。

確かに依頼者は妻です。最優先で考えるべきは妻の意向ですが、その意向に沿った上で、夫が考える問題も併せて解決することが、今回の私の仕事なのです。お客様の気持ちを具体的に細かく考えることがとても大切だということがわかるかと思います。

相談者の気持ちを具体的に読み取ることが、案件獲得に繋がる

お客様の気持ちを”具体的に”考えることが大切

ということにつき、以上、本松の考えを書きました。

お金が絡むと人間関係も悪化してしまいますよね。統計的に夫婦関係悪化の最大の要因も、お金の問題だそうです。そのような気持ちを理解すると、その人に響く言葉や言い方がわかります。

今回も、私は妻だけでなく夫の気持ちもも読み取ることで、それぞれにとってベストな提案ができたのだと思います。だからこそ受任を獲得できたのだと。相談者の気持ちを読み取ることができると、受任を獲得することのハードルは一気に下がります。

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具体的にどう思っているのかまで、こと細かに相手の気持ちを考えることが大切です。


具体的にお客様の気持ちを感じることが出来れば、単に「いい先生」と思ってもらえるだけでなく、仕事も獲得できますので、売上に繋がり一石二鳥です。難しそうに感じるかもしれませんが、面談時に、ほんの少し意識するだけでもかなり違うと思いますので、きっとあなたにもできるはずです。

今日もしっかりと事例を学んで、今後の業務に活かしてくださいね。

なお、この事例は次の記事でも紹介しています。今回の記事とは異なる切り口で解説していますので、ぜひ読んでくださいね。

債務額108万円!少ない債務額でも自己破産の依頼を受けた理由。大切なのは債務額ではなく理由付け。

「司法書士事務所 債務整理研究会」のお知らせ

これから債務整理業務に取り組みたい司法書士の方へ~
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不安な司法書士の方は本松へぜひご相談ください。

私はこれまで、5032件の債務整理案件を受任してきました。
「すごいなー。でも債務整理事務所で基礎から教育されたからできるんでしょ?」
「債務整理の実務経験が乏しい自分には、難しそうだな。」
と、このように考える方が多いと思います。
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確かに私は債務整理事務所に在籍していましたが、ほとんど何も教えてもらえず、必死に独学で勉強しました(汗)。最初のうちは、

「個人再生?何だそれ?聞いたことないぞ。」

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