自己破産・個人再生を依頼した後に”やってはいけない”6つの行為
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こんにちは。
これまで5032件の借金問題を解決してきた、ひまわり司法書士法人の本松です。

この記事では、自己破産や個人再生を司法書士に依頼した後にやってはいけない6つの行為について説明します。

自己破産・個人再生の申立業務を司法書士が受任してから実際に申立を行うまで、数か月以上期間が空くことが一般的だと思います。費用を分割払いにする依頼者が多いことや、書類の準備に時間がかかる(特に家計収支表など)ことがその理由です。

しかし、当然司法書士が受任した時点で問題が解決したわけではないので、司法書士は手続きが終わる(免責許可決定の確定、再生計画認可決定の確定)までの間、依頼者の行動をある程度コントロールしなければなりません。

司法書士の説明不足により、免責許可や再生計画認可の判断に影響を与えてしまうと、何より依頼者本人にとって不利益になってしまいます。特に気を付けて欲しい6つの行為をまとめましたので、これらの行為は絶対にしないように、面談時から依頼者に口を酸っぱくして注意を促しましょう。今回のポイント

【自己破産や個人再生を司法書士に依頼した後にやってはいけない6つの行為】
1.返済
2.借入、カードショッピング、携帯キャリア決済、ETCカード利用など
3.給与の前借り
4.浪費
5.ギャンブル、投資
6.仕送り、贈与など

新人司法書士新人司法書士

これから破産や再生をしようとしている依頼者の行動が制限されるのですか?

司法書士の本松司法書士の本松

行動が制限されるという言い方は大袈裟ですが、気を付けるべきポイントがあるのでしっかり守ってもらう必要があります。

新人司法書士新人司法書士

もし守れなかった場合、どのようなデメリットがありますか?

司法書士の本松司法書士の本松

自己破産の場合は免責不許可事由に該当します。その1点を以って免責不許可になる可能性は低いでしょうが、本来であれば同時廃止型で受理してもらえたはずなのに、問題行動を起こした結果、管財型事件になってしまう可能性が高くなります。一方個人再生の場合は、清算価値保障額が高くなってしまう可能性がありますので、結果的に弁済すべき再生債権額が高まるリスクを抱えてしまいます。

返済

代表的なものが返済です。特定の債権者に対する返済は「偏頗弁済(偏った弁済)」と呼ばれ、免責不許可事由に該当します。実務上もよく遭遇するのが、この偏頗弁済のケースです。

本人に悪気はないのですが、人の人情として同じ債権者であっても、金融会社と個人は分けて考えがちです。〇〇カードや銀行は”債権者”という意識はあっても、親族や知人からお金を借りている場合は、その意識が希薄になってしまいます。そのため、「銀行カードローンは返済しないけれど、知人からの借入の返済は続ける」というのはよくあるケースです。

自己破産や個人再生の手続き上は、相手が金融機関であろうが個人であろうが同じ債権者です。平等に扱う必要があります。そのため、「依頼後は(個人間の借入であっても)一切返済しない」ということを徹底するように依頼者に伝えましょう。

なお偏頗弁済にあたるかどうかの時期的な境目は「司法書士の受任日」です。受任前の時点では、まだ確定的に自己破産・個人再生を考えているわけではないという理由で偏頗的な弁済があってもそれほど問題はありませんが、受任後の偏頗弁済は問題となってしまいます。

司法書士の本松司法書士の本松

他にも「車のローンだけ払う」「スマホ本体ローンだけ払う」というケースも存在します。実務上は、車・スマホが生活必需品である場合は、ある程度他の債権者と受任のタイミングをズラすこともあります。しかし、すべての債権者に一斉に受任通知を送るのが本来は望ましいことは覚えておきましょう。

確認ポイント
  1. 親族・知人も金融会社と同じ債権者。特別扱いして返済することはNG。
  2. 車やスマホのローンも受任後、一斉に支払いを止めるのが原則。

借入、カードショッピング、携帯キャリア決済、ETCカード利用など

受任後の借入も絶対にしてはならない行為です。なお、借入は現金の借入(キャッシング)のみならず、クレジットカード等によるショッピング、携帯キャリア決済の利用、ETCカードの利用など、”後払い式”のサービス利用はすべて該当しますので、注意が必要です。

特に自己破産の場合は大きな問題になります。これから自己破産をしようと考えているにも係わらず借入をするということは、”返すつもりがない”ということにもなりかねません。余程のことがないと現実的には該当しませんが、返すつもりがないのに借入を行うことは厳密に言えば詐欺罪を構成するため、刑事罰の対象にもなり兼ねません。

実際の依頼者は”ついうっかりと”キャリア決済をやってしまう、”知らずに”ETCカードを使ってしまうということが多いので、面談時にしっかりと説明しておきましょう。

なお、交通系ICカードやnanaco、waonなどのように事前にチャージして使うものは問題ありませんが、家計収支表の作成がやや複雑になりますので、依頼者には申立期間中、できればキャッシュ払いのみの生活を心掛けてもらいましょう。

また、お金を借りるのではなく、お金をもらう行為はまったく問題ありません。親族から援助や行政からの助成金・支援金(返済不要のもの)などは、どんどん受け取ってもらうよう説明しましょう。但し裁判所に報告は必要なので、親族からの援助の場合はその関係性(関係性を証する戸籍書類の提出を求められることもあります)や援助の経緯の聞取り、行政からの助成金・支援金の場合は内容が記載された通知書等を提出してもらいましょう。

確認ポイント
  1. キャッシングだけではなくカードショッピング、キャリア決済、ETC利用も借入に該当する
  2. 悪気なくうっかり使ってしまうケースが多いので注意を促しておく
  3. お金をもらう行為は問題ない

給与の前借り

給与の前借りには「借りる」「返済する」という2つの側面がありますので、絶対にやめてもらいましょう。

給与の前借りは、給料日前にいくらか前借り分を受け取り、給料支給日に前借り分を差し引かれて支給されることで返済するシステムです。やってはいけない行為のうち「借入」と「返済」がセットになった大きな問題行動です。

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依頼者本人からすると、勤務先が債権者になり得るという意識は薄い(というかほとんど無い)ことが多いのでちゃんと説明しましょう。

一般的に給与の前借りをしてくれるのは中小企業が多くなりますので、勤務先の社長も依頼者が借金で困っている事情を知っていることも多くなります。そのため、勤務先の社長や経理担当者と連絡を取って業務を進めることもあります(もちろん依頼者本人の了承を得た上で行います)。

確認ポイント
  1. 給与の前借りは「借入れ」「返済」がセットになった問題行動
  2. 本人に自覚してもらうことが大切

浪費

言うまでもなく浪費もダメです。

過大な飲食代、旅行代金、高価品や必要以上の衣類等の購入はもちろん、ゴルフや車・バイク、アイドルの追っかけなどの趣味も該当しますし、子どもへのお年玉やクリスマスプレゼントも金額によっては浪費になります。

司法書士の本松司法書士の本松

過去には、自己破産の手続き中にも係わらずどうしてもゴルフをやめられない依頼者もいました。最終的に免責許可は下りたものの、免責審尋において裁判官からかなり怒られていました。あと最近ではスマホゲームの課金も多いですね。

確認ポイント
  1. 浪費はもちろんダメ。
  2. お年玉、クリスマス・誕生日プレゼント、お中元・お歳暮などは要注意。浪費に該当しない程度のあくまで常識的な金額内で。

ギャンブル、投資

ギャンブル、投資も、もちろんNGです。パチンコ、競馬などのギャンブルだけではなく、株式投資、FX、仮想通貨の購入などの投資もすべて含まれます。

たまに「勝つならやってもいいのですか?」という方もいますが、そういう問題ではありません。特に自己破産の場合は、破産者の反省度合を見極めた上でその経済的更生を図るというのが制度趣旨なので、破産手続きの準備に入ったにも係わらず相変わらずギャンブルを行っているという行為そのものが問題視されるのです。

宝くじやロト、トトなどは少額なので罪悪感なく続けている依頼者も多いですが、手続きが終わるまでは我慢してもらいましょう。

確認ポイント
  1. 競馬、パチンコなどのギャンブルは当然NG。株式投資などもダメ。
  2. 勝てば良いわけではない。反省の意思が見られないことが問題。

仕送り、贈与

遠方で暮らす家族への仕送りは原則的には控えてもらい、金銭等の資産の贈与は絶対にやらないように伝えておきましょう。

(免責許可の決定の要件等)
第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
一 債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
引用元:破産法第252条1項1号

家族への仕送りや財産の贈与は、「破産財団の価値を不当に減少させる行為」に該当すると判断されてしまう可能性があります。

もっとも家族には扶養義務がありますので、遠方で一人暮らしの大学生の子や実家で暮らす親が生活費に困窮している場合は、必要最低限の仕送りであれば問題ありません。しかし、仕送りの負担が原因で債権者への支払いができなくなるほどの過大な出費は問題となりますので、依頼者本人の生活に支障がない程度の金額に留めておきましょう。

一方、贈与は絶対にやめましょう。子どもへのお小遣い程度なら問題ありませんが、配偶者等への金額の大きな贈与や不動産の贈与などがあった場合、破産管財人の否認権の対象となってしまいます。「債権者を害する目的(破産財団から外すための工作)」と考えられてしまうのがその理由ですが、実際にそのような意図を持って行うことが多いと思います。
個人再生の場合は清算価値保障額に加算せざるを得なくなり、結果的には依頼者本人の負担になってしまいます。

確認ポイント
  1. 仕送りは原則的にはNGだが、扶養義務のある親族が生活に困窮している場合に限り必要最低限度で。
  2. 贈与はNG。結果的には依頼者の不利益になって返ってくる。

まとめ

以上、自己破産や個人再生を司法書士に依頼した後にやってはいけない6つの行為について説明しました。

今回のポイント

【自己破産や個人再生を司法書士に依頼した後にやってはいけない6つの行為】
1.返済
2.借入、カードショッピング、携帯キャリア決済、ETCカード利用など
3.給与の前借り
4.浪費
5.ギャンブル、投資
6.仕送り、贈与など

自己破産においては第1に免責許可決定を勝ち取ることが大切ですし、第2には資産がない依頼者の案件を管財型化させない(同時廃止型で進行させる)ことが重要です。個人再生の場合は、清算価値保障額の増大により再生債権の額が無用に大きくなることを防止し、依頼者の負担をなるべく軽くしてあげることが重要です。

しかし、今回解説した6つの行為を行ってしまうと、このような目的を阻害してしまいます。事情を説明する書類を作成する負担が増える司法書士も大変ですが、何より依頼者本人にとってマイナスに働いてしまいます。

司法書士は依頼者にしっかりと説明を行うことが必要です。理由も併せて「なぜこれら6つの行為がダメなのか?」を分かりやすく伝えましょう。

司法書士の本松司法書士の本松

どれだけ細かく説明しても、多かれ少なかれ、多少は該当する行為があることが多くなると思います。依頼者によって生活スタイルの癖があると思いますので、癖をつかんで釘を刺しておくことが重要です。

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