個人再生の手続きの流れはどうなっている? 全体的な流れの3つのポイントを説明します!
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こんにちは。
これまで5032件の借金問題を解決してきた、ひまわり司法書士法人の本松です。

この記事では、個人再生手続の全体的な流れについて3つのポイントを挙げながら解説します。

慣れないうちは難しく感じてしまう個人再生ですが、まずは全体の流れを把握しておきましょう。全体を把握するとポイントごとの手続きの目的が見えてきますので、個々の手続きについての理解も深まるはずです。

今回のポイント

【個人再生の全体の流れの3つのポイント

  1. まずは全体の流れを確認しよう
  2. 3つのポイントを意識して個人再生の全体の流れを把握しよう
    ①再生債務者の資産・債務の把握

    ②再生債権の決定
    ③再生債権者の意向確認
  3. 管轄裁判所によって細かい運用は異なる。ローカルルールもあるのでそれぞれの司法書士事務所周辺の裁判所の運用を確認しておこう
新人司法書士新人司法書士

個人再生は手続きの流れが複雑でしっかり理解できていません。全体像を頭に入れるには難しいですよね?

司法書士の本松司法書士の本松

そんなことないですよ。3つあるポイントを意識しながら全体の流れを見てみると頭に入りやすいですよ。

新人司法書士新人司法書士

3つのポイントですね?しっかり学習します。

司法書士の本松司法書士の本松

個人再生に苦手意識を持つ司法書士が多いのは、この3つのポイントを認識していないことが原因です。しっかりと認識することで全体の流れをつかむことができますし、個人再生自体の理解も深まります。

個人再生の全体の流れ  

個人再生の全体的な流れは以下のとおりです。まずは全体の流れを把握しましょう。

個人再生の流れ全体図

以下、順に説明していきます。

個人再生の申立て

まずは管轄の裁判所に申立て書類を提出します。窓口に持参しても、郵送で破産再生の担当部署に送ることも可能です。

裁判所に書類を送る際は法務局の登記書類と異なり、送付方法に指定がありません。レターパック(赤・青いずれも可)、(簡易)書留、普通郵便、宅配便、何でもOKですが、念のため追跡できる伝票番号がある郵送方法が良いでしょう。

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個人再生に限らず他の手続きでも同様です。

再生委員の選任

申立書類を提出した後、裁判所によるチェックが行われます。不足書類等が無ければ、1~2週間で再生委員が選任されます。

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再生委員費用の予納金を支払うタイミングは、裁判所管轄により大きく異なるポイントです。東京地裁では履行テストで支払う月々の支払いが再生委員の予納金に充てられますが、千葉地裁では再生委員の選任前に一括で納付する必要があります。また大阪地裁など、管轄によっては再生委員が原則選任されない(選任されることもあります)裁判所もあります。

再生手続開始決定

再生委員が選任されると、再生委員との面談を行います。そこで再生委員が生活状況や負債状況を確認した上で、差し支えないと判断すれば、再生委員が裁判所に対し、再生手続開始の決定を行うべきだという意見書を提出します。

裁判所は意見書の内容を勘案した上で、再生手続開始を決定します。

再生債権者による債権届出

再生手続開始が決定されると裁判所から再生債権者へ決定書が送られ、裁判所に対し債権を届け出るよう促されます。再生債権者が裁判所に対し債権の届出を行うことで再生債権が構成されます。

報告書(民事再生法第125条1項)、債権認否一覧提出

再生債権者から債権の届出が完了すると、再生債務者は民事再生法第125条1項に定められた報告書と債権についての認否一覧を裁判所へ提出します。

(裁判所への報告)
第百二十五条 再生債務者等は、再生手続開始後(管財人については、その就職の後)遅滞なく、次の事項を記載した報告書を、裁判所に提出しなければならない。
一 再生手続開始に至った事情
二 再生債務者の業務及び財産に関する経過及び現状
三 第百四十二条第一項の規定による保全処分又は第百四十三条第一項の規定による査定の裁判を必要とする事情の有無
四 その他再生手続に関し必要な事項

引用元:民事再生法第125条1項

債権者から届出があった債権額に異議がある場合は、一般異議申述期間内に再生債務者から異議を申し立てることができます。それに呼応して再生債権者は債権の評価申立を行うことも可能です。

評価申立が行われれば、再生委員が債権調査を行い裁判所へ意見書を提出します。裁判所は意見書の内容を勘案した上で、債権額を決定します。

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債権者が金融機関である場合、事実と異なる債権額を届け出ることはまずありませんので、異議を申し立てるケースはほとんどないでしょう。

再生計画案提出

再生債務者が裁判所へ再生計画案を提出します。再生委員が選任されている場合は、再生委員と内容について打ち合わせた上で裁判所へ提出するのが実務上の流れになります。

再生計画案に問題がなければ再生委員から裁判所へ意見書が提出されます。その後裁判所の決定に基づき、小規模個人再生の場合は書面決議、給与所得者等再生の場合は再生債権者への意見聴取に付されます。

再生計画認可決定

再生債権者の書面決議や意見聴取、再生委員の意見書、その他全体的な状況を鑑みた上で、裁判所が再生計画認可の決定を行います。

再生計画認可決定が行われた約2週間後に官報公告がなされ、官報公告からさらに2週間の経過によって再生計画は確定します。

再生計画に基づく弁済開始

再生計画認可決定が確定すると、その翌月から再生計画に基づいた弁済が開始されます。履行テストでの精算金がある場合は、再生委員から再生債務者へ精算金が返金されます。

再生計画認可決定の確定を以って裁判所の手続きは終了です。その後の弁済について再生計画認可を決定した裁判所が関与することはありません。

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個人再生における再生債権は法的に確定しません。法的に確定しないとは、再生計画認可決定は債務名義ではないということです。もし弁済が滞ったとしても強制執行はできません(強制執行のためには改めて訴訟手続き等を行う必要があります)。また、再生債権は5年で消滅時効の期間が経過します。司法書士が勘違いしやすいポイントなので注意しましょう。

3つのポイントを意識して個人再生の流れを把握しよう

個人再生の全体の流れを把握するには、以下の3つのポイントを認識することが重要です。つまり、個人再生の制度趣旨から逆算して手続きの目的達成のためには何が必要なのか?という視点で考えるということです。この点を認識していると、個人再生における個々の手続きが何のために行われているのかということが理解しやすくなりますし、全体的な流れを把握するのに役立ちます。

個人再生の流れを理解するための3つのポイント
  1. 再生債務者の資産・債務の把握
  2. 再生債権の決定
  3. 再生債権者の意向確認

それでは順に説明していきます。

再生債務者の資産・債務の把握

まずは当然ですが、申立人の資産や債務を把握することが必要です。そもそも個人再生手続き自体が適当なのかどうかの判断が必要ですし、再生債権額を決定するために清算価値保障額を算出する必要があります。

再生委員が選任された場合は、再生委員が申立人の資産・債務を確認(この段階では暫定的な確認作業になります)した上で裁判所に意見書を上げて、再生手続開始の決定が出されます。

再生債権の決定

再生手続開始決定の後は、再生債権の額や内容を決定する必要があります個人再生は基準となる債権内容を特定した上で、それを減額して債権額を決定する流れになります。そのため、債権の額や債権者の特定(再生債権者となるのか共益債権者となるのか等)を行う必要があります。

再生債権を決定するために債権者の債権届出が行われます。場合によっては異議、評価申立を経て債権額が決定されます。

再生債権者の意向確認

個人再生では再生債権者の意向が手続きを左右するので、再生計画についての賛否を確認する必要があります。特に小規模個人再生においては、反対意見を出す債権者が一定割合いると再生計画自体が認可されません。

債権者の意向を確認するために書面決議(小規模個人再生の場合)や意見聴取(給与所得者等再生の場合)を行います。

司法書士の本松司法書士の本松

①資産・債務調査を行い ⇒ ②債権内容を決定して ⇒ ③再生債権者の意見を聞く その上で裁判所が判断する というのがおおまかな流れです。司法書士はこの3つのポイントを押さえておくだけで全体的な流れを理解しやすくなりますよ。

管轄裁判所によって細かい運用は異なる

個人再生の手続きは、管轄の裁判所によって細かい運用が異なります。例えば以下のような違いがありますので、事前に管轄裁判所に確認しておきましょう。

裁判所による個人再生の運用の違い(司法書士申立、住宅ローン特則なしの場合)

【東京地裁】

■再生委員 ⇒ 必ず選任される
■再生委員予納金 ⇒ 25万円(※履行テストの支払分が充当される)
■清算価値保障額 ⇒ 現金99万円までは控除される。現金を除く財産は項目別に計算して20万円以下であれば計上しない。

【大阪地裁】

■再生委員 ⇒ 選任されないのが原則
■再生委員予納金 ⇒ 30万円(※選任された場合)
■清算価値保障額 ⇒ 控除されない

【千葉地裁】

■再生委員 ⇒ 必ず選任される
■再生委員予納金 ⇒ 20万円(※再生委員の選任前に一括納付)
■清算価値保障額 ⇒ 現金99万円までは控除される。現金を除く財産は項目別に計算して20万円以下であっても計上する。

新人司法書士新人司法書士

裁判所によってかなり違いがありますね?

司法書士の本松司法書士の本松

そうですね。再生委員の有無や清算価値保障額といった点は依頼者の金銭的負担に直結します。予めしっかりと説明しておくことが大切です。

    まとめ

    以上、個人再生の全体の流れについて、3つのポイントを踏まえて解説しました。

    今回のポイント

    【個人再生の全体の流れの3つのポイント

    1. まずは全体の流れを確認しよう
    2. 3つのポイントを意識して個人再生の全体の流れを把握しよう
      ①再生債務者の資産・債務の把握

      ②再生債権の決定
      ③再生債権者の意向確認
    3. 管轄裁判所によって細かい運用は異なる。ローカルルールもあるのでそれぞれの司法書士事務所周辺の裁判所の運用を確認しておこう

    個人再生にアレルギーや苦手意識を持って、これまで避けてきた司法書士も多いと思います。確かに個人再生は自己破産よりも複雑な手続きなので、よく知らないとそのように思うかも知れません。

    しかし、3つのポイントを認識して全体的な流れをつかむことで、グッと理解がしやすくなります。個人再生は全体的な流れを把握することができれば、とてもわかりやすい手続きです。

    個人再生は住宅を所有していたり、宅建・保険などの資格を有している依頼者にとってはとても強力な債務整理方法です。本当に困っている依頼者の助けになることができますので、この記事でしっかり学びましょう。

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