
こんにちは。
これまで5032件の借金問題を解決してきた、ひまわり司法書士法人の本松です。
この記事では、債務整理など債務者の信用毀損事由が生じた場合、信用情報が回復するまでの期間はどれくらいか?という点について解説します。
金融機関との取引における信用毀損事由とは、延滞、債権譲渡、代位弁済、債務整理、破産申立てなど当初予定していた通常の返済プランどおりの返済が見込めなくなることを指します。これらの事由が発生すると信用情報に記載されるのですが、記載される情報は「事故情報」と呼ばれます。
【信用情報が回復するまでの期間はどれくらい?】
- 信用情報登録機関は3種類。信販(クレジット)系の「CIC」、消費者金融系の「JICC」、銀行系の「全国銀行個人信用情報センター(KSC)」があり、それぞれで回復する期間も異なる。
- 返済に延滞があった場合
- 債権回収会社に債権譲渡された場合
- 未払いにより債権者から強制解約された場合
- 司法書士、弁護士が介入して任意整理を行った場合
- 保証会社により代位弁済があった場合
- 債権者により債権回収(支払督促、訴訟等)があった場合
- 破産申立があった場合
- 個人再生申立があった場合
- 時効援用があった場合

事故情報の種類によっても違うし、信用情報機関によっても違うんですね。細かく覚えておく必要はありますか?

信用情報の回復までの期間については、相談者からとてもよく質問されます。完璧に覚える必要はないかもしれませんが、ある程度は頭に叩き込んでおいた方が相談者からの信頼は得やすいですよ。

なるほど。では、例えば「5年経過したら信用情報は回復するのでまたカードが作れますよ」という説明をすべきでしょうか?

その説明は危険だから避けましょう。金融機関の審査項目は信用情報だけではありません。本人の収入、職種、家族構成等、他にもいろいろな項目を総合的に判断されます。信用情報がキレイになったからといって審査に通るとは限りません。それに最終的に判断するのはその金融機関なので、司法書士としては「審査に通るか否かは金融機関の判断になるので、分かりません。」と回答すべきです。
信用情報登録機関は3種類。それぞれで回復する期間も異なる。
信用情報登録機関は3種類。信販(クレジット)系の「CIC」、消費者金融系の「JICC」、銀行系の「全国銀行個人信用情報センター」があり、それぞれで回復する期間も異なります。
CICは信販系、JICCは消費者金融系と区別はされていますが、大手の信販会社や消費者金融は概ねどちらにも登録しています。そのためこの2社の信用情報が回復する期間もほとんど同じになっています。全国銀行個人信用情報センターについては、銀行が住宅ローンを扱うことから他の2社に比べると回復するまでの期間も長くなっています。

最近はスマホの端末本体代金を分割払いで購入することも多いと思います。 スマホ端末代金の分割払いもローンの一種なので信用情報の対象となります。他のクレジット会社と同様にCICJとJICCの2社に登録されます。
【信用情報が回復するまでの期間1】返済に延滞があった場合
返済に延滞があった場合の信用情報が回復するまでの期間は、以下のとおりです。
- CIC 5年
- JICC 1年
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC) 5年
なお、延滞が解消されてから期間のカウントがスタートとなりますので注意してください。延滞状態が解消されない限り情報はずっと残ります。JICCのみ期間が1年となっています。
信用情報で延滞とされるのは、概ね「3カ月以上の返済遅延が発生した」場合とされています。分割払い・リボ払いの場合、期限の利益喪失の要件を3カ月以上の延滞としている金融機関が多いためです。つまり、3カ月以上の延滞があり期限の利益を喪失すると、信用情報では「延滞」扱いになるということです。
【信用情報が回復するまでの期間2】債権回収会社に債権譲渡された場合
債権が債権回収会社に債権譲渡された場合の信用情報が回復するまでの期間は、以下のとおりです。
- CIC 5年
- JICC 1年
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC) 5年
延滞と同様にJICCのみ期間が1年となっているのが特徴的ですね。
債権回収会社が保有している債権は信用情報に記載されません。債権回収会社に債権譲渡がされると、譲渡前の原債権の情報は上記の期間中、信用情報に残ります。しかし、債権回収会社が保有している債権は信用情報の対象外なので、債権回収会社に債権譲渡があった後の債権の状況は信用情報では判断できなくなります。
信用情報の本来的な目的は金融機関の与信審査にあります。貸付やクレジットカードの申し込みがあった際に、顧客の信用状態を調べて判断材料にするのが目的なのです。
債権回収会社は貸付等を行うわけではないので、与信審査は行いません。そのため債権回収会社が保有している債権は信用情報には記載されないという運用になっています。
【信用情報が回復するまでの期間3】未払いにより債権者から強制解約された場合
未払いにより債権者から強制解約された場合の信用情報が回復するまでの期間は、以下のとおりです。
- CIC 5年
- JICC 5年
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC) 5年
【信用情報が回復するまでの期間4】司法書士、弁護士が介入して任意整理を行った場合
司法書士、弁護士が介入して任意整理を行った場合の信用情報が回復するまでの期間は、以下のとおりです。
- CIC 5年
- JICC 5年
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC) 5年
任意和解が成立してから期間のカウントがスタートとなります。なお、任意整理後の弁済について延滞があった場合は「延滞」の情報が記載されますので注意が必要です。
【信用情報が回復するまでの期間5】保証会社により代位弁済があった場合
保証会社により代位弁済があった場合の信用情報が回復するまでの期間は、以下のとおりです。
- CIC 5年
- JICC 5年
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC) 5年
代位弁済実行後の求償債権に時効援用を行う場合の起算点は「代位弁済(保証履行)時」です。原債権の期限の利益喪失日と勘違いしてしまいがちなので、注意してください。なお、銀行系カードローン契約にはほぼ例外なく保証会社が付いています、銀行系カードローンを原債権とする債務の時効援用を行う場合は注意しましょう。
【信用情報が回復するまでの期間6】債権者により債権回収(支払督促、訴訟等)があった場合
債権者により債権回収(支払督促、訴訟等)があった場合の信用情報が回復するまでの期間は、以下のとおりです。
- CIC 5年
- JICC 5年
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC) 5年

債権回収(支払督促、訴訟等)の事実が信用情報に記載されることは知らない司法書士も多いのではないでしょうか?この機会にしっかりと覚えておきましょう。
【信用情報が回復するまでの期間7】破産申立があった場合
破産申立があった場合の信用情報が回復するまでの期間は、以下のとおりです。
- CIC 5年
- JICC 5年
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC) 10年
免責許可決定が確定してから期間のカウントがスタートします。但し、裁判所から債権者に対して必ずしも免責が確定した旨の通知があるとは限らないので、金融機関が免責確定をすぐに把握できない場合は情報がずっと残ってしまうことがあります。その場合は免責確定を証する書面を信用情報機関へ提出することで、上記日付で信用情報は回復します。
自己破産の免責許可決定は、決定から概ね1カ月で確定します。免責許可決定の日付から約2週間後に官報公告がなされ、官報公告日からさらに2週間後に免責許可決定は確定します。そのため免責許可決定から概ね1カ月後に免責許可決定は確定するのです。
【信用情報が回復するまでの期間8】個人再生申立があった場合
個人再生申立があった場合の信用情報が回復するまでの期間は、以下のとおりです。
- CIC 5年
- JICC 5年
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC) 10年
再生計画認可決定の確定日から期間のカウントがスタートします。
再生計画認可決定は決定から概ね1カ月で確定します。再生計画認可決定の日付から約2週間後に官報公告がなされます。そして官報公告日からさらに2週間後に再生計画認可決定は確定しますので、再生計画認可決定から概ね1カ月後に再生計画認可決定は確定するのです。
【信用情報が回復するまでの期間9】時効援用があった場合
時効援用があった場合の信用情報が回復するまでの期間は、以下のとおりです。
- CIC 5年
- JICC 1カ月程度
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC)※既に回復している
信用情報登録機関による取り扱いにもっとも大きな違いが生まれるのが時効援用があった場合なので注意しましょう。
【時効援用があった場合】CICの場合
CICに登録されている債権につき時効援用が行われ債務が消滅すると残高は「0円」になります。しかし「保有期限」が時効援用から5年後の日付で記載されるため、その後5年間は情報が残ってしまいます。5年経過とともに情報はすべて削除されます。
【時効援用があった場合】JICCの場合
JICCに登録されている債権につき時効援用が行われ債務が消滅すると、金融機関の承認があり次第、情報は削除されます。金融機関により承認に要する期間の違いはありますが、1カ月程度を要することが多いです。
【時効援用があった場合】全国銀行個人信用情報センター(KSC)の場合
全国銀行個人信用情報センター(KSC)に登録されている債権については、ほぼ例外なく保証会社が付いています。そのため保証会社が付いている債権につき時効援用を行う場合は既に代位弁済が実行されているため、代位弁済から5年の経過を以って信用情報からは削除されています。そのため保証会社に対して時効援用を行う時点では、既に全国銀行個人信用情報センター(KSC)の信用情報は回復していることになります。
また保証会社が付いていない債権(銀行プロパーの住宅ローン等)もありますが、ほぼ例外なく担保が設定されています。その場合時効になる前に担保権の実行などにより時効を中断してきます。この場合は、時効援用を行い得るケースはほとんどないと考えられます。
まとめ
以上、債務整理など債務者の信用毀損事由が生じた場合、信用情報が回復するまでの期間はどれくらいか?という点について解説しました。
【信用情報が回復するまでの期間はどれくらい?】
- 信用情報登録機関は3種類。信販(クレジット)系の「CIC」、消費者金融系の「JICC」、銀行系の「全国銀行個人信用情報センター(KSC)」があり、それぞれで回復する期間も異なる。
- 返済に延滞があった場合
- 債権回収会社に債権譲渡された場合
- 未払いにより債権者から強制解約された場合
- 司法書士、弁護士が介入して任意整理を行った場合
- 保証会社により代位弁済があった場合
- 債権者により債権回収(支払督促、訴訟等)があった場合
- 破産申立があった場合
- 個人再生申立があった場合
債務整理を行う司法書士は依頼者や相談者から信用情報についての質問をよく受けます。スムーズに回答できるか否かで依頼者に対する信頼度も変わってきますので、しっかりと知識を身に付けておきましょう。
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「個人再生?何だそれ?聞いたことないぞ。」
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