支払督促の意味って何?裁判所から通知が届いたらどう対応すべきか
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みなさん、こんにちは!

これまで5032件の借金問題を解決してきた、ひまわり司法書士法人の本松です。

大手貸金業者、カード会社、債権回収会社、保証会社は、未払いの顧客に対する法的手段として支払督促を多用しますそのため、債務整理を扱う司法書士にとっては、支払督促の知識や対応方法を身に付けておくことはマストです。

司法書士の本松司法書士の本松

業務で慣れていないと「ちょっと待って。支払督促?どういう意味だっけ?受験時代に勉強したけど、実務ではまったく経験ないな~。」と思ってしまいますよね?

この記事では支払督促の意味について詳しく説明していきますので、最後まで読んでくださいね。しっかり対応しないと、支払督促の問い合わせが来たときに大変なことになっちゃいますよ。

支払督促って何?どういう意味があるの?

ある時、裁判所から突然書類が届いた。中を開けてみると「支払督促」と書いてある。

相談者Bさん相談者Bさん

え?何だろう支払督促ってどういう意味?裁判を起こされたってことかな?

そうやって不安になった相談者から問い合わせが来ますので、あなたはきっきりとそれに対応しなければなりません。支払督促の意味やどう対応すればいいかについて解説します。

支払督促は金融業者がよく使う手続き

支払督促の意味は、一言で言うと民事の通常訴訟の前哨戦です。

支払督促は、クレジットカード会社、消費者金融、債権回収会社などの金融業者がよく使う裁判の手段です。東京簡裁などの事件数が多い簡裁では、大量の案件が申立てられます。

支払督促を金融業者が使う理由

金融業者にとって支払督促は次のようなメリットがあります。

金融業者が支払督促を利用するメリット
  • 出廷しなくていい
  • 証拠の提出が不要
  • 収入印紙代が安い(通常訴訟の半額)
  • 仮執行宣言により債務名義が取得できる

この中でも、出廷しなくていいというのは大きなメリットではないでしょうか。大手だと件数も膨大なので、出廷する社員の人件費だけでもかなりのコストがかかりますよね。

債務者の中には、裁判所から特別送達で支払督促が届いたことによって、慌てて対応する人もいますが、半数以上の人がそれでも何も対応せずに放置してしまいます。

金融業者としては債務名義を取ることが目的なので、手間がかかる訴訟手続きよりも、債務者が未対応の場合、書類を送るだけで債務名義が取得できる支払督促の方がコストがかからずに便利だというメリットがあるのです。

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ちなみに支払督促では、申立人を「債権者」、相手方を「債務者」と呼びます。私もたまに「原告」「被告」と間違えてしまいます。ややこしいですが、整理しておきましょう。

支払督促は放置してちゃマズい

支払督促を受け取ったら、2週間以内に支払督促の異議申立書を裁判所に提出します。そうすると通常の民事裁判手続きに移行しますので、何か反論や主張があれば、通常の裁判手続きの場で、訴えていくという流れになります。

では支払督促を受け取って、そのまま放置しておくとどうなるのでしょうか?

支払督促を受け取って放置していると、「相手の主張をすべて認めます」という意味になります。その場合の支払督促は何を意味するかと言うと、いわゆる「欠席裁判」と同じです。

そうならないように、なるべく迅速に対応しなければならないですよね。

放置すると財産を差し押えられることも

支払督促が送達されてから2週間が経過すると、債権者は仮執行宣言申立てを行うことができます。仮執行宣言が取得できると、強制執行による差押えが可能になります。

放置すると財産を差押えられることも

差し押さえることができる財産はいろいろありますが、大きく分けると次の4つです。

差押えることができる財産
  • 給与、年金
  • 預金、貯金
  • 不動産(土地、建物、マンション)
  • 動産(自動車、家財道具など)

怖いのは給与や年金の差押え

「自分は差押えられる財産なんて何もないから大丈夫」と相談者はよく言います。しかし財産がない方でも怖いのが、給与や年金の差押えです。

借金が払えてなくて支払督促が届くということは、おそらく相談者は金銭的に余裕のない生活をしているはずです。ただでさえギリギリの生活費がさらに削られてしまうことになってしまいますので、給与が差し押さえられると、めっちゃピンチですよね!

しかも給与の差押えは、裁判所から会社へ命令が行きます。そのため会社にも借金がバレてしまうというリスクを孕んでいるのです

給与差押えは司法書士事務所にとってもマイナス

債権者がどこの会社なのかにもよりますが、支払督促手続きをとってくる場合、未払い期間が長期に及んでいるケースが多いです。支払督促が終了して手続きが確定してから相談に来たけども、実は消滅時効期間を経過していたため、「もう少し早く相談に来てくれれば時効援用できたのに、、、」ということも多いですよ。

その場合数年から十数年分の利息・遅延損害金が付されていますので、元利合計でかなりの金額に膨らんでいます。そのため例え分割での和解交渉を行ったとしても、和解するのは困難を極めることが多いでしょう。

債務名義を取得されているので、給与差押えがも十分考えられます。司法書士事務所にとってこの場合の最大のデメリットは、給与差押えにより、「司法書士報酬の支払いが難しくなる」ということ。

時効援用ができないと膨らんだ利息・損害金の影響で、任意整理では解決できず、案件が自己破産になる可能性が高くなります。債務整理案件の場合、費用を分割払いにする人がほとんどだと思いますが、案件が破産に切り替わると、任意整理や時効援用に比べると費用も高額になります。しかし、給与差押えが入ってしまったので「月5000円しか払えない」という事態にもなり兼ねず、場合によっては依頼をお断りせざるを得ないということにもなり兼ねないのです。

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ちなみに給与差押えのことを、業界用語で「給差し(きゅうさし)」と言います。裁判所書記官も普通に使う言葉なので、知らない人は覚えておきましょうね。

督促異議申立書での時効援用は危険!

以上のとおり、支払督促が送達された場合は、2週間経過前に督促異議申立書を裁判所に送ることが重要です。

ちなみに督促異議申立の手続きも司法書士の代理権に含まれます。債務者からの委任状があれば、訴訟代理人として手続きができますし、もちろんその後の通常訴訟移行後の送達も代理人として受けることができます。通常の簡裁の民事事件の被告案件で使用する委任状とは少し記載内容を変える必要がありますので、そこは注意しましょう。

もし、消滅時効の援用ができそうな場合、督促異議申立書に「消滅時効を援用する」と書きましょう、と推奨しているサイト記事や書籍をよく見かけます。

しかし、私はこれはリスクがあるのでやめた方がいいと思います。

理由は2つあります。

督促異議申立書での時効援用をしない方がいい理由 その1

そもそも、督促異議申立書はあくまで「通常訴訟で争いましょう」という意思表示に過ぎません。時効援用の要件が整っていたとしても、督促異議申立書で援用したところで、援用として有効ではないのです。

そうであるのなら、督促異議申立書による時効援用は無意味なものになってしまいます。

督促異議申立書での時効援用をしない方がいい理由 その2

請求されている債権につき調査が不十分で、消滅時効が完成している確証がないまま督促異議申立書で時効援用してしまうと、その行為そのものが「債務の承認」と相手方に主張されてしまう危険性があります。

新人司法書士くん新人司法書士くん

でも督促異議申立書で主張しても意味がないんですよね?だったら逆に不利になることもなのでは?

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そう考える気持ちもよくわかります。しかし、問題点は別にあります。

つまりその主張が有効なものであるかどうかという問題ではなく、本来なら存在しなかった「争点」を訴訟に生じさせることになる、ということが問題なのです。督促異議申立の時点で消滅時効の要件を満たしているのであれば、仮に通常訴訟以降後に「あれは債務の承認だ」と相手方に主張されたとしても、「ちゃんと反論」すれば、その主張が採用される可能性は低いでしょう。しかし、「ちゃんと反論」する手間が増えてしまいます。場合によっては、それによって口頭弁論期日が1回増えてしまうかも知れませんよね。

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金融会社によっては、明らかに時間稼ぎを狙った不毛な主張をして来ることもありますので、相手方に余計な主張をする隙を見せないことも大切です。

まずは何より2週間以内に支払督促の督促異議申立書を提出することが大切 

放置しておくと危ないので、支払督促の異議申立書を裁判所に提出しましょう。直接裁判所に持っていってもいいし、郵送でもOKです。

督促異議申立書を郵送する場合の注意点

郵送方法に指定はないので、普通郵便でも書留でも何でもいいのですが、ちゃんと到着したかどうかがわかるように、追跡番号が付いたレターパックで送るのがいでしょう。ただし、郵便局以外の会社の宅配便やメール便ではダメなので、気を付けてくださいね。

なお、これは督促異議申立書に限らず、すべての裁判書類についてのルールです。不動産登記の添付書面のように「書留または書留に準ずる方法によらないとダメ」などという決まりはありません。

私は督促異議申立書なら、配達記録で送ることが多いですね。しかし、2週間の期限まで時間がなくて土日に発送する場合は、普通郵便でポストに投函することもあります。期限に遅れないことが第一ですからね。

督促異議申立書に書いた内容は認められるの?

裁判所から送られてきた封筒の中に異議申立書の記載見本があると思いますので、それに従って記載します。ただし、督促異議申立書を送る際には、以下の点に注意してください。

督促異議申立書の注意点
  • 分割払いにチェック ⇒ あくまで希望が分割払いというだけです。チェックすれば分割払いに応じてくれるわけではないのでご注意ください。
  • 「時効援用します」と書く ⇒ 督促異議申立書で時効援用することはできません。督促異議申立書の提出は、「相手と正式に争いたいので、通常の裁判に移行してください」という意思表示過ぎません。

督促異議申立は通常訴訟の幕開け

つまり、督促異議申立書を提出するだけでは問題は何も解決せずに、むしろ提出によって戦いのゴングが鳴ったことを意味するのです!そのため、分割払いの交渉や、時効援用の主張などは、その後の通常の裁判で争っていく必要があるのです。

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司法書士であれば、裁判所からの送達書類の中に入っている督促異議申立書に手書きで書いて提出するのではなく、自分で書式を作成して提出した方がいいですよ。依頼者に格好がつきますからね。でも私も最初は手書きで書き込んで提出していましたけどねw

督促異議申立ては司法書士の代理権に含まれる

ちなみに督促異議申立の手続きも、請求額が140万円未満の場合は司法書士の代理権に含まれます。債務者からの委任状があれば、訴訟代理人として手続きができますし、もちろんその後の通常訴訟移行後の送達も代理人として受けることができます。通常の簡裁の民事事件の被告案件で使用する委任状とは少し記載内容を変える必要がありますので、そこは注意しましょう。

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支払督促は簡易裁判所の手続きではありますが、請求額に制限はありません。つまり140万円を超える請求でも支払督促を使用できるのです。その場合、司法書士の代理権限外になってしまいますので注意が必要です。訴訟代理人として手続きするのではなく、裁判書類作成者として手続きすることになります。

 

支払督促についての質問を集めてみました

それではこれまで相談した人たちからの、支払督促についての質問とそれに対する回答をまとめてみました。支払督促の意味について相談者から聞かれた際の参考にしてください。

相談者からの質問

Q.勤務先はバレますか? 

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給与差押えになると調べられるので、危険性は大です。最初に借りたときの申込み書には、勤務先を記入してあると思いますので、当時と勤務先が変わらない人は要注意!

Q.一括で払うか差押になるんでしょうか?

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相手側は分割払いに応じることもありますが、応じる義務があるわけではありません。手間と費用をかけて支払督促までして来ているので、「一括払いしか認めない。払えないなら給料を差し押さえる!」と言われる可能性も大きいですね。金額次第では、自己破産を検討すべきだと思います。

Q.支払督促は、督促異議申立書を送れば解決終わりますか?

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督促異議申立書を送っても、通常の裁判に移行するだけなので、それで解決するわけではありません。

支払督促の意味について解説しました

以上、支払督促の意味について解説しました。

最初は対応も簡単だと思っていた方も、意外と落とし穴が多いと感じたのではないでしょうか。支払督促を受け取って2週間以内に督促異議申立書を送らないといけないので、問い合わせがあったら早めに面談予約を組むことが大切です。

もし相談者が相談に来るのが遅くて、既に支払督促が確定してしまった後だったら、返済が難しいケースもあると思います。その場合は自己破産を優先的に検討することをオススメします。意外と低い債務額でも破産は可能なものですよ。以下の記事にまとめてありますので、参考にしてくださいね。

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